パウエル・クワック

ハットリくんが食わず嫌いというウワサは事前に聞いていたんだけど、本当に「ベルギービール」の言及のすごいこと。
http://d.hatena.ne.jp/keyworddiary/%a5%d9%a5%eb%a5%ae%a1%bc%a5%d3%a1%bc%a5%eb?date=20040826#keyworddiary

しかも誰一人銘柄を書いていないというのには、はてなユーザーの底の浅さが見えた。わけなどなく、所詮ベルギービールなどその程度の浸透度なんだな。

「フラスコのような」と形容される専用グラスは、特徴あるベルギービールグラスの中でももっとも特徴的なもの。「馬上杯」とも言われるこのグラスの由来は、面倒なので以下引用。

パウエル・クワック」は、その昔に東フランダース州で宿屋兼ブルワリーレストランを営んでいた男の名前に由来します。クワック氏は、駅馬車の客がここで休んでいる間、馭者にビールを振舞うとき、特別のグラスを使いました。馭者がビールを馭者台に置くと、馬が暴れたときにグラスがひっくり返ってしまいます。だから、グラスを手から離せないように底を丸くしたのです。
ベルギービールという芸術』より

グラスの形はこちらを。
http://www.rakuten.co.jp/kiya/428840/428849/428850/
底が丸いためにテーブルには置けないので、木枠を添えているわけですな。

このグラスの話をするときに必ず出るのが、ゲントのビアカフェ「デ・デュレ・グリート」の話。専用グラスの盗難防止のために、客は靴の片一方を店に預けなければならない。靴は天井から吊り下げられて、飲んだら返してもらえる。ところがなぜか、ぶら下がったままの靴がたくさんあるとかないとか。
http://page.freett.com/bugyonawa/tusin/t4gentcafe.htm

「クワック」は人名というのが、ベルギービールファンの間で定説なのだが、実はもうひとつの意味があるのはあまり知られていないようだ。Kwakというのはフラマン語(ベルギー・オランダ語)で「ゴポッ」という擬音語のことなのだそうだ。このグラスで呑んでいると、ビールが残り少なくなってきたときに静かに飲まないと、フラスコのくびれた部分のせいでビールが「ゴボッ」と吹き出してしまう*1。それにも引っ掛けているんだ、とはベルギー人のボスの話*2

このビールは、この専用グラスで飲んだほうが本当においしい。炒った麦のカラメルの香りが、このグラスの口の部分に溜まって、非常に飲欲をそそる。他のグラスでは(たとえブランデーグラスでも)不思議とこの香りが効果的に出てこない。握ったときの木枠の温もりもたまらない。まぁお試しアレ。

*1:ブーツ型のジョッキで起こるあの現象。

*2:彼は人名ということを知らなかったのでそういう意味しかないと思っていたそうだ。