暗黒館の殺人

はてなの本」と一緒に買った本。久しぶりに小説を読んでいる。予想通り*1、ちまちまと読み進まない。やっと一人死んだところだ。(←いかにもマニアらしい言い回し)

それにしても、フィクションの世界に没頭できない。これが映画だったら2時間で有無を言わせず終わってくれるのに。と、そういえば昔は映画のそういう「強制力」が大嫌いだった。おかげで映画人間にはならなかったのだが、気づけばその強引さが恋しくなってしまっている。たぶん一層、別世界に没頭するだけの自力がなくなってしまったんだな。

自らを鼓舞すべく、他人の日記を斜め読みしてみる。…だめだ、まっすぐに誉めている人がいない! 引き返すなら今のうちか…。


綾辻行人といえば、自分が一番好きな作品は実は『人形館の殺人』である。いたるところで評判が悪いこの作品だが*2、最初に読んだときは本当に驚いた。もちろん著述トリックに驚いたのではなくて、「名探偵」のあの扱いぶりにである。「人を驚かせるためならなんでもするんだなぁ」という作者の気概に驚いたのだ。

もっとも当時の自分は、作者は自分の作ったキャラクター、それも「ヒーロー」なら、何よりも大切に扱わねばならないものだと思いこんでいた、そんな無垢な(世間知らずの)読者でもあったのだが。

対照的に、『時計館の殺人』とか『霧越邸殺人事件』とかは、あまり好きではない。見掛け倒しというか、その分厚さに見合っただけの迫力が感じられないのである。「強そうに見えて、実際そこそこ勝つのだが、決して大関にはなれない、貴闘力のような作品」とはある友人の感想だが、けだし名言である。

この『暗黒館』がどちらの感想に近いものになるか。それをよすがにしてこれからも細々読み続けていくことになりそうだ。

*1:http://d.hatena.ne.jp/originalovebeer/20040826#p7を参照

*2:というより、作者本人と自分以外にこの作品が好きだという人を見たことがない。いたらぜひトラックバック下さい。