『街男 街女』第一印象 の前に

ネタバレ防止ではなく、こういう駄文でアルバムを聞いていない方の興醒めにならないように、「続きを読む」にて記すつもりだったのですが、なんだかうまくいきません。*1
以下を読む方は気をつけてください。

『街男 街女』第一印象 (未聴の方注意)

ファーストインプレッションは今でなければ書けないもの。それが「合っている」かどうかは度外視して、ここに残しておきます。自分のために。


「Yen」以外の曲は、全曲または一部を事前にすべて聴くことができた。そのときの予想は、id:originalovebeer:20041020#p4で書いたとおり。実際にアルバムを聞いてみると、この予想を大きくはみ出すことになった。

一番大きかったことは、曲を1つ1つ聴くのとアルバムを通して聴くのとでは大きく印象が違っていたこと。

単品で聴いていたときは、「ライヴ感重視」「わざと荒削り」というアルバムコンセプトのせいで、どうにも未完成な印象が強かった。それがアルバムの中での1曲として聴くと、その未完成さが疾走感に変わってしまう。とくに「死の誘惑のブルース」は、7月の「沈黙の薔薇」ライヴで聴いたときよりも音がクリアになっていて、正直ここまでソリッドなロックだとは思っていなかった。未完成な曲が、アルバムとしてまとめられることで、それぞれの曲がそれ自体で持っている以上の存在感が生まれていた。だからこのアルバムは、1枚通して聴くべきアルバムなのだ。

いやしかし、今書いた理由よりももっと直截的な理由がある。ずばり、ラストの2曲のためである。田島得意の「バラード」と「大作」がラストの2曲に集中しているのが、このアルバムの大きな特徴だ。そこまで8曲も費やして「エロ・グロ・ナンセンス」の雰囲気をかっちりと構築しておきながら、「別れ」と「愛」を歌ったラストの2曲でスッと落とす。とくに最後の最後で歌われるあの歌詞。

この曲*2の最後の二行を言いたいが為にこのアルバムの曲を書いていた気もしますね。

『Barfout!』での田島自身の言葉だ。この「二行」を歌詞を読みながら聴いていたら、不覚にも涙が浮かんできた。これまでにも何曲かは、何度も聞き込むうちに、サウンドや曲の世界観に涙腺が潤むことはあった。けれど、最初の1回目からこうも感動したのははじめてだった。これはライヴ感を大切にしたから、歌詞とその歌声が生み出した効果だろう。

ただし、そういう生ものの感動は一過性のもの。繰り返し聞くことで感動が薄れていくのかもしれない。けれども最初の1回目で大いに感動したことは、こうして記し残しておきたい。

もうひとつ。「アルバム予想(雑感)」では『DESIRE』を引き合いに出していたが、なんだかその直感が当たっていた。「鍵、イリュージョン」は「青空のむこうから」のアンサーソングっぽい気がする。大作ながらどうも消化不良気味な感じが不満だった「青空」が、8年経って無事に「完成」したような気がするのだ。

*1:id:hatenadiary:20040909#1094731326を読んで解決しました。今「詳細ページ」となっているから、この機能が効かなかったわけです。…諦めました。

*2:「鍵・イリュージョン」