『[はてな]ではじめるブログ生活』と『Blog完全マニュアル』

自分が「はてな」をはじめた最初のきっかけは、この『[はてな]ではじめるブログ生活』(ASIN:4886487319・以下『ブログ生活』)を買ったことだ。

未だにblogのすごさはよくわからない。だけど、上で書いたように、「はてな」の面白さというのはこの1ヶ月でわかってきたような気がする。

正直な感想を書こう。『ブログ生活』はそこのところをうまく書ききれていないと思う。「ページの事情」という舞台裏には同情するものの、それならばいっそ、マニュアルを廃してそこを強調するような内容にしてもよかったのではないのだろうか。

はてな」の何が楽しいのかということは、著者自身の日記(id:yskszk)を読むことによって想像はできていた。あとはそれに関して、もう少し明快な説明があるものかと期待していた。しかし、残念ながら『ブログ生活』はそれに充分に答えてくれなかった。

はてな」を始める前に一番疑問に思っていたのは、Web日記と一体なにが違うかということ。自分の脳内を垂れ流しにする日記が、どうしてコミュニケーションの道具に変われるのか? 本来もっとも人目をはばかるべきものが、どうして他人との交流に使えるのか? ここが一番疑問だった。

結局は実際にやってみてよくわかった。トラックバック、コメント、キーワードの3つの機能が、単なる「垂れ流し」同士の日記を結びつけていたのだ。ユーザーはそれらが生み出すリンクをひとつひとつ紡いでいって、自分の考えを直したり人の考えを知ったりするのだ。そのリンクの張られ方が非常に徹底しているので、とても自分しか考えていないだろうというようなことさえ、他の誰かとつながってしまうのだ。このギャップが埋められる瞬間は、ちょっとしたカタルシスがある。

たしかに、『ブログ生活』にもそのことは書いてある。けれども、各機能の説明の延長として書いてあるのである。もし、「はてな」の楽しさをダイレクトに教えようというのなら、機能の解説を中心に書くのではなく、今書いたような「コミュニケーション」の視点から書く方がはるかにわかりやすかったのではないだろうか。

一方、『Blog完全マニュアル』(ASIN:439689161X)は、その不満点がだいぶ解消されていた。ムックならではのリアルな話題の具体的な例によって、Blogのすごさ、というのをいきなり垣間見させてくれる。他のサーヴィスとの比較も充実していて、それぞれのサーヴィスの良し悪しも類推できる。なによりも「コメントとトラックバックの違い」「RSS」「アフィリエイト・リンク」「ソーシャル・ネットワーク」など、Blogに付随していた他の機能の面白さは、この本ではじめて知ったくらいだ。

それでも物足りなさは残る。この著者にしてはヨソイキというか通り一遍というか、説明のための説明にしかなっていないところ。まぁ、入門書のムックでハメを外したところで恥ずかしいばかりなのもたしかだが。
またいずれ『ゲイツの穴ライナスの穴』(ASIN:4861220106)のような怪^H快著を期待しているよ。